百万長者の上級副社長

 日本語にするとおかしくなってしまう言葉というのがありまして、その一つが、「百万長者」。

 ミリオネア(millionaire)から来ているのでしょうけど、百万米ドルだから、だいたい1億円。やっぱり億万長者と訳した方がしっくりくると思います。

 本を読んでいて、ビリオネア(billionaire)を十億万長者と訳しているのも見た事があるけれど、これもヘン。億の上は兆だから、兆万長者くらいの感じだけど、10億米ドル=1000億円の桁になって一桁足りないから、千億長者とでも訳せるでしょうか。

 もう一つ、前から不思議に思うのが「上級副社長」です。

私の役職は何なんだ?

私の役職は何なんだ?

 上級副社長の肩書きを持つ人に会った事はありますが、私の周りを含めても、中級副社長や下級副社長に会ったという話を聞いた事がないのです。

 きっと、ヴァイス プレジデント(Vice President)という肩書きの使い方が日本の商慣習と違うのを適当に訳しているからですね。

 ヴァイス プレジデント(Vice President)は、直訳すると副社長です。が、米国会社では、部長とか課長くらいの役職だったり、支店長の意味だったりします。今は無き投資銀行では課長の意味で使われている事が多くあった様に思います。

 では、副社長に相当するのはどういう肩書きかというと、シニア ヴァイス プレジデント(Senior Vice President)です。副社長を意味するヴァイス プレジデントにシニアが付くから、上級副社長と訳すのでしょうが、どうも実態に合わないと思います。単に副社長と訳しておく方が実態に合っていると思うのですが。

 さらにエグゼクティブ ヴァイス プレジデント(Executive Vice President)という表現もあるそうで、シニアとエグゼクティブでは、エグゼクティブの方が上の役職らしいです。

カタカナ表記の役職名にも使われるマネージャー(Manager)も部長にも課長にも使われます。同じカタカナ表記でも使われるディレクター(Director)はもう少し広くて、取締役、本部長、部長あたりでしょうか。

 Directorは米国会社では、取締役会のメンバーを意味するBoard of directorsという表記と、単にDirectorと書いて、本部長や部長をさす場合があります。Directorだけだとどちらの意味にも取れるので、ややこしさ倍増です。

 洋の東西を問わず、肩書きに統一された決まりはなく、慣習や社内ルールで決まっているものなので、訳す時はそのまま訳すのではなく実態に合わせた訳語を当てはめたいものです。

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